三菱商事・三井物産が減損により赤字。減損で赤字の理由は?
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三菱商事・三井物産が数十年ぶりの赤字決算
総合商社の三菱商事と三井物産が相次いで資源ビジネスの減損処理に伴い、多額の減損損失が発生し、両社とも当初の予想(黒字)から赤字へ転落する見込みです。
実は両社とも財閥解体以来、初めての赤字決算ということで、この減損の影響がどれだけ大きいさが分かります。
それにしても50年以上、バブル崩壊時、リーマンショック直後でも黒字経営をし続けたってすごいですね。
こんな会社でも赤字にさせる減損について整理してみたいと思います。
※メモみたいなものなのでクオリティは保証しませんw
三菱商事・三井物産の会計を振り返る
会計基準は?
三菱商事・三井物産ともにIFRS(国際会計基準)を導入(任意適用)しています。
この他、伊藤忠商事や住友商事、丸紅などもIFRSを導入しており、まだ任意適用の日本企業の中では業界として早い業界です。
IFRS導入により総合商社も様々な影響がありましたが、その中でも財務諸表へのインパクトという点では売上高に対する影響が最もあった業界です。
IFRS導入により売上高が半減
総合商社のビジネスは今や、ファイナンスやデリバティブ、投資など事業内容は多岐にわたりますが、それでも総合商社の基本は取引の仲介です。
総合商社は取引の仲介をする時に、買主から物品の依頼を受け、売主から物品を仕入れ、その仕入れ値(100)に総合商社の手数料(20)を上乗せして依頼のあった買主に販売(120)をします。
この時、総合商社は仕入れた物品が売れないというリスクを負っていません。
IFRSを導入する以前の総合商社は、上述の例だと売上高を20ではなく販売価格の120で売上高を計上していました。
もちろん合わせて仕入れ代として100も計上をしていたので、利益はどちらも20で変わりません。
普通の感覚だとここで言う売上高は手数料分の20を計上するべきと考える人は多いんですが、総合商社の慣行でなぜか120で売上高が計上し続けられ、その結果、つい最近までの日本企業の売上高ランキングの上位5位はトヨタ自動車以外は全て総合商社でした。
ですがこの慣行もIFRSが導入されることで売上高を半減する結果となりました。
IFRSの収益認識(売上高を計上する方法)では「売主から買主へ物品の所有権が移転すると共にリスクの移転がある時に収益を認識する」と定められています。
ここで言うリスクとは、物品が売れなくなるリスクです。
総合商社の仲介の場合には既に販売先を確保した中で物品を仕入れるので売れないリスクはなく、IFRSの収益認識に当てはまらず、その結果手数料分のみの売上高計上となりました。
その結果、三菱商事の有価証券報告書を見ると、2013年3月期までは収益とともに売上高という表記が2014年3月期からはIFRSを適用した為に収益という表記のみになっています。
なぜ減損によって赤字へ転落することになったのか?
減損とは?
減損会計(げんそんかいけい、impairment accounting)とは、資産の収益性が低下して投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいう。減損処理ともいう。
(引用:Wikipedia)
企業が資産に投資をするということはその投資額を上回るリターンを期待して投資をするわけですが、何らかの事情により投資をした資産の収益性が低くなり、投資額を下回った時には実際の価値まで投資額(帳簿価額)を減らす処理(減損)が必要です。
減損をするかどうかのトリガーは資産の収益性が低下しているかどうかです。
それを判断するにはまず、「減損の兆候」を判定し、資産の収益性が低下していると判断された時に、減損処理に移っていきます。
ここで言う「資産の収益性が低下している」とは、下記のような状態です。
①資産または資産グループが使用されている営業活動から生ずる損益またはキャッシュフローが継続して赤字となっているか、あるいは、継続して赤字となる見込みであること
②資産または資産グループの使用されている範囲または方法について、当該資産または資産グループの回収可能価額を著しく低下させるような変化が生じたか、あるいは生ずる見込みであること
③資産または資産グループが使用されている事業に関連して、経営環境が著しく悪化したかまたは悪化する見込みであること
④資産または資産グループの市場価格の下落
(参照:新日本有限責任監査法人)
この減損の兆候があるかないかを判断し、あった時には減損測定を行います。
減損測定は、帳簿価額と割引前キャッシュフローを比較して後者が前者を下回った時、減損損失を認識します。
そして減損損失を計上することが決まったら次は減損損失をいくら計上するべきか、その測定を行います。
減損損失は帳簿価額から回収可能価額を引いた金額です。
(減損損失=帳簿価額ー回収可能価額)
回収可能価額は公正価値と使用価値とに分かれており、より高い方を採用します。
簡単に言えば、この場で資産を売却したと想定するのが公正価値、そのまま資産を使い続けると想定し(割引後)キャッシュフローのトータルが使用価値です。
三菱商事・三井物産の減損の内容とは?
三菱商事・三井物産がこの度、多額の減損処理を行った背景が上述の通り、資産の収益性が低下しているとして減損の兆候があり、減損損失を計上することになりました。
2社の減損の詳細は下記の通りです。
【三菱商事】
減損処理の内訳は、チリの銅事業で2800億円▽オーストラリアのLNG事業で400億円▽オーストラリアの鉄鉱石事業で300億円−−など。
(参照:毎日新聞)
【三井物産】
内訳は、チリ銅事業で1150億円▽豪州LNG事業の開発計画の遅れで400億円▽ブラジルでの石炭の価格下落などで350億円−−など。
(参照:毎日新聞)
三菱商事や三井物産ほど多額の減損ではないものの、住友商事や丸紅も同じような資源事業の減損を余儀なくされており、総合商社5社合わせての減損損失は1兆円になるようです。
三菱商事・三井物産ともに減損処理することになった資産は、金属・エネルギー分野です。
2000年頃に中国など新興国の金属・エネルギー需要を見越して、三菱商事などは海外の金属・エネルギーを積極的に開発していったものの、最近の中国経済の悪化によりニーズが減少、おまけに開発計画の遅れや開発費用高騰などのダブルパンチにより、当初の想定を大きく下回る収益の低下がありました。
その一方で一躍、総合商社1位となったのが伊藤忠商事です。
他の総合商社と比べ、資源事業の割合が比較的少なく、大きな減損を避けることが出来ました。
三井物産は以前から利益に占める資源事業の割合が8割と資源事業が集中しすぎると危惧される声はあり、非資源事業へとシフトさせてはいたみたいですが、資源事業の減損をカバー出来るまでには至らなかったみたいですね。
総合商社の減損を整理してみて思ったこと
資源が乏しい日本ではどうしても海外から資源を調達する必要があります。
総合商社以外にも金属会社やエネルギー会社が海外へ投資を行っていますが、この分野は多額の投資を必要とし、高い知識と経験(交渉や海外事業の管理・運営、資金調達など)が求めらる分野なので、企業規模が大きい総合商社が資源の調達をリードする役割になるのかなと思っています。
金属・エネルギー分野は、世界経済や各国の思惑など一企業レベルがコントロール出来るものではないので、資源事業に多額の投資をしている総合商社は今後も減損のリスクはあるものの、三井物産の社長が「必要な減損処理は全て実施した」とのコメントにもある通り、リスクは軽減したとも言えます。
もちろん今回減損の対象とならなかった資産はいくつもあるとは思いますが、長い目線で見れば人口増加により金属やエネルギーへのニーズは確実に高まってくると思うんですよね。
今回の資産の収益性の低下は一時のものなのかなと自分は考えており、いつの日か資源事業によって大成長というのもあるように思います。
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